南会津 真名板倉山 2010年3月21日
所要時間 福渡−−渡渉−−真名板倉山−−渡渉−−福渡
真名板倉山も登山道があるとは聞いたことが無い山なので残雪期に登るのがよい。ルートであるができるだけ最短で登れることと、できるだけ迷いにくくなだらかな尾根を選ぶことを勘案し、福渡集落の北外れ近くの沢を少し遡り、途中で出現する尾根に取り付いて北東に上っていくことにした。この尾根はそこそこの傾斜でほぼ1本道で迷いにくいだろう。麓から最短で山頂に至る尾根の一つなので、軟雪でもがく距離も最小限にできる。
集落には車を置く適当な場所が無いので北に通り過ぎたところにある半分雪が残った駐車スペースに車を置いた。残念ながら出発することには雪が降り出し、ゴアを着て出発となった。これから冬型の気圧配置に変わってくるので気温が下がってくるのだろうが、まだ気温は高めで軟雪が予想されるため、スノーシューも持っていく。
集落北の駐車スペースから歩き始める | 山腹の用水路に沿って谷に向かう |
谷右岸に足跡あり | 堰堤は踏跡で右岸から越える |
山腹近くに走る用水路に沿って人家の裏手を通って沢に入るとでかい砂防ダムが行く手を塞いだ。こりゃ大きく巻かないと通過不能だなぁと迂回ルートを探し始めたが、右岸側の残雪上に足跡が残っていてダムのほうに続いていた。もしかしたらこの足跡を辿れば右岸からダムを越えられるのかと進んでいくと、途中雪解け箇所で明瞭な踏跡が出ていた。まさか山頂まで続いているわけではないだろうが、しばらくは沢沿いに道があるようだ。踏跡で簡単に堰堤を越え、踏跡はそのまま右岸を上流向かって進んでいくが堰堤より先は再び軟雪に覆われて歩きにくくなった。ここでスノーシューを装着しようかとも考えたが、沢の対岸へ渡らなければならず、今朝の雨で明らかに水量が増えている沢をスノーシューを履いたまま越えられるか分からないのでつぼ足のまま歩いた。
当初計画の尾根。末端は切れ落ちて登れない | 沢の右岸を遡上 |
ここで左岸に渡った | スノーシュー装着して歩き始める |
どこか対岸へ渡れそうな場所を探しつつ進んでいくが、堰堤近くでは川幅が広く渡れそうになくなおも上流を目指す。対岸から滝のように沢が合流する箇所の先が目的の尾根だが、とても登る気になれない傾斜が尾根まで続いており、なおも上流を目指す。対岸の尾根を回りこんだ先で沢の途中に石が頭を出してそこを経由すれば靴をぬらすことなく対岸へ渡れそうな場所を発見、簡単に渡って対岸でスノーシューを装着。ここは尾根の北側なのでたっぷりと雪が残っている。まだ尾根は絶壁状で登れないため左岸を上流へと進み、右手に広い谷が登場したところでその谷を登ることにした。地形図ではこの谷の上流部は傾斜はきつくないので簡単に尾根に乗ることができるはずだ。
雪に埋もれた谷を遡上 | 上部で雪が減り右に逃げる |
伐採後に自然に落葉樹が生えたような乱雑な細い樹林帯を登る。ここも軟雪でスノーシューが無ければ地獄だっただろう。標高が上がると徐々に雪が減ってきて右側斜面しか雪がへばりついていないので、ルート変更して雪をつないで雪の段差を超えていく。別に藪があるわけではなく雪が無い所を歩いてもいいのだが、スノーシューを脱ぐのが面倒なだけだ。ここも昨日同様カモシカの足跡が多い。
尾根到着。灌木がうるさい | 灌木に我慢ならずスノーシューを脱ぐ |
尾根に上がると南側の斜面はきれいさっぱり雪が消えてしまっており、尾根のてっぺんも雪が無い所が多い。踏跡は無くスノーシューでは細い潅木が邪魔だ。よほど脱ごうと思ったがこの先でどうせ雪が出てくるだろうと我慢して歩き続けるがいっこうに雪が現れない。矮小潅木と無雪の地面でスノーシューはあまりにも歩きにくく、とうとうスノーシューを脱いでザックにくくりつけた。これで大幅に足が軽くなった、というかスノーシューに絡む細い潅木の影響を受けなくなった雪はしんしんと降り続けていたが少し風が出てきたようだ。。
露岩。特に危険は無い | 山火事の跡か? |
雪は無いが藪も無い | 藪の無い歩きやすい尾根が続く |
途中で大したことがない露岩が登場し、この先から細い潅木が少なくなってくる。そして標高1000mを越えるとやっと小ぶりの潅木が消えて背の高い落葉広葉樹林となって一気に歩きやすくなって一安心。これより上部は邪魔な木は出現しなかったが、今度は天候が下り坂になって北西の風が強くなり吹雪模様になってきた。雪の量は大したことはないのでさほど視界は閉ざされないが、この先もこの程度でいてくれるのだろうか。心配になって少し目印を残すようにした。
1226m肩 | 1226m肩にはゴミが散乱 |
広い尾根で下りは方向に多少注意が必要だが、うまい具合に尾根てっぺん付近だけ雪が消えており、地面が出た線が尾根を表しているのでいい目印だった。標高1226m肩で傾斜が緩んでペットボトルや空き缶のゴミが出現、境界標石も立っていた。そしてこの先からピンクのリボンがやたらめったら多く付けられているではないか。目印にしてはあまりにも頻度が高く、ちょっと謎の存在だ。
1226m肩より先で積雪が増える | 古い目印 |
ピンクリボン目印が大量にあった | 雪庇軟雪地獄で尾根左を歩いた |
肩の先から雪庇が発達するようになり、木が生えていないまっさらな雪の上の方が邪魔物が無くて歩きやすいはずだが、雪庇は軟雪に覆われ登りでは足が重すぎた。稜線の北側に寄って樹林の中の雪が薄い場所を選んで進んでいく。こうなるとつぼ足は苦しいのでスノーシューの登場だ。多少針葉樹が混じるがこの標高だとほとんど落葉樹林が続いていた。徐々に吹雪がひどくなってきたが雪よりも風が強い方で、積もった新雪が風に飛ばされて地吹雪の様相だ。気温は-5℃程度まで冷えてきて、前線が通過して冬型の気圧配置に移行しつつあった。
山頂の反射板 | 新雪に埋もれた昨日の?足跡 |
反射板の銘板 | 反射板の東にあるピーク |
緩やかな尾根を登りきるとガスの中からでかい反射板が登場した。あれ、地形図にはこんな物書かれていないぞ。あ、思い出した。先週、土倉山に登った時に真名板倉山山頂に確かに反射板が見えていたっけ。まるで赤城の小黒檜山のようだが、こっちの方はピークが広く反射板はでかい。反射板周囲には新雪に埋もれかけた昨日のものと思われる足跡が残っていた。いったいどこから登ってきたのだろうか。私の他にこんなマイナーな山に登るヤツがいるんだなぁ。
山頂一帯は一面の残雪に覆われて植生は不明だが、山頂直下までは尾根上には一切藪はなく、ここはわざわざ雪がある時期に登るメリットはなかった。この辺りは標高1300mでもまだ笹が現れないと分かったのは収穫だった。この付近は残雪期は1500m以上の山を狙うか。でももう少し北上や西に進むとたぶんぐっと積雪が増えて笹がお出ましする標高は下がるだろうな。
反射板があるピークの東に小ピークがあり、GPSはそっちを山頂と示しているので行ってみたが、ここも雪に覆われて三角点の形跡は発見できなかった。一番高い場所は反射板ピークのように見えるので、濡れてテープが効かないが鉄塔の足の鉄骨にぐるっと赤テープを巻いて落書きしておいた。そういえばここには山頂標識は皆無だった。
堰堤の先に集落が見えた | 最後はこの橋を渡った |
ふきっさらしの寒い山頂なので長居するわけにもいかず、同じルートで下山開始。尾根上の残雪状況は把握できたので、1226m肩でスノーシューを外して標高820mで谷に下り始めるまで登山靴で歩いた。残雪の谷を下って問題の渡渉点はスノーシューのまま対岸に渡ることができた。堰堤を越え、雪が消えたところでスノーシューを収納、近くの飼い犬に吼えられながら(KUMO氏曰く「犬センサー」。人家近くの里山に夜間登山するときの大敵だそうだ)車に向かった。
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